犬にとってのおいしさを表すペットフードの「嗜好性」とは

ペットが喜んで食べている姿を見るのは、私たち飼い主にとってとても幸せなものです。
だからこそ毎日あげる食事は、できるだけワンちゃんが美味しいと感じてもらえるものがいいですよね。

しかし、いざ「犬にとっておいしい食事とはどういうものですか?」と聞かれてもわからない飼い主さんは多いのではないでしょうか?

今回は、愛犬に毎日の食事で満足してもらいたい!と思っている飼い主さんのために、犬にとってのおいしさとは何かをご説明します。

嗜好性とは?

嗜好性とは「どれだけ好んで食べられるか」というペットフードが持っている特徴のことです。

仮に、AとBの2つのペットフードがあった場合、Aの方がBよりも動物に好まれた時、より好まれたAの方を「嗜好性がよい」といいます。

嗜好性に影響する3つの要素

嗜好性に影響を与える主な感覚的要因は、

  1. 嗅覚(におい)
  2. 触覚(形・大きさ・食感)
  3. 味覚(味)

の3つです。

犬はまず、嗅覚でフードのにおいをかぎ、その後口に入れ、触覚で形や大きさを確認し、最後に味覚で味を感じます。
つまり、順番でいうと「嗅覚」→「触覚」→「味覚」の順になります。

この中で犬がフードを食べるか決める時に最も強く影響するのは「嗅覚」です。においが受け入れられなければ口の中に入れてもらえません。

また、ヒトと違い犬は色覚が発達しておらず、フードを選ぶ際に視覚は重要な要素とは考えられていません。

① 嗅覚(におい)

犬の嗅覚はヒトよりとても発達しています。ヒトの嗅覚上皮は約3~4㎠ですが、犬は18~150㎠もの嗅覚上皮を持っています。

犬が食事をとるか決める際に、最も強く影響する感覚器官です。

② 触覚(形・大きさ・食感)

口に入れた後の感触や口当たりは、犬にとって食べる楽しみの重要な要素です。
犬はねばねばするものは好みません。

また、私たち飼い主の感覚とは異なり、犬は同じ組成配合のドライフードであれば、粒の大きな方を好みます。

③ 味覚(味)

動物が感じる味覚の種類は、甘味・酸味・塩味・苦味・旨みの5つあり、犬は5つ全ての味覚を感じることができます。

味を感じる受容体は「味蕾」と呼ばれ、味蕾の数はヒトが約7000あるのに対し、犬では約1700と、ヒトと比べて少なくなっています。
なので、犬では味覚は嗅覚ほど強く嗜好性に影響しないと考えられます。

視覚(見た目)

犬はヒトと比べて色を識別する細胞が少ないため、色覚が発達しておらず、色はわからないと考えられています。

そのため犬の制限された色彩感覚がフードの色に対する好みにどれほど影響を与えるかは不明です。
メーカーはフードの色を様々に変えるよう工夫していますが、それはおそらくペットにというよりも飼い主へアピールすることを目的としています。

嗜好性を良くするには?

次に、嗜好性を良くするためのいくつか方法についてご紹介します。

水分含有量を変える

フード中の水分含有量を増やすほど、犬のフードに対する好みも増します。
なので、犬は平均してドライフードよりセミモイストフードを好み、セミモイストフードよりウェットフード(缶詰)を好みます。

また、ドライフードに水を加えることで、フード自体から出る”肉汁”により嗜好性をよくすることもできます。(温水の方がなお良しです)
これは、ドライフードに添加されたコーティングが水を再吸収しておいしそうな揮発物が遊離するためです。

原材料・栄養素含有量を変える

フード中のタンパク質量を増やすことによっても、犬のフードに対する好みを増すことができます。

犬は鶏肉やレバーよりも牛肉、豚肉、子羊肉を好み、馬肉は犬に非常に好まれることがわかっています。
なので、「原材料名」を確認し、動物性タンパク質の含有量が多いフードを選ぶと嗜好性がよくなります。

また、フードの脂肪含量を高めると、エネルギー密度が増加するとともに嗜好性が増します。脂肪は動物性でも植物性でも構いません。脂質の割合は「保証分析値」で確認できます。

温度を変える

フードの温度も食事の好みに影響します。
犬や猫では体温程度のフードを好み、一般的には38℃~40℃くらいの食事が好みです。

食いつきが悪いと感じても…

私たち飼い主は、ワンちゃんをヒトと同じように考えてしまい、食いつきが悪いのは風味に飽きてしまったからだと考えます。

そして、そのように感じた飼い主さんの中には、フードの風味を頻繁に変えてしまうという方もいるでしょう。

しかし、食いつきが悪いと感じてもフードや風味を頻繁に変えるのはおすすめしません。
一般的に、ペットの”選り好み”はフードや風味が頻繁に変わることに対するペットの条件づけられた期待から生じると考えられているからです。

なので、もしペットが選り好みをするようになったら、風味を頻繁に変更することを止め、変更の少ない安定状態に徐々に切り替えることで解決する場合があります。

まとめ

みなさん、犬の嗜好性に関して理解が深まったでしょうか?

嗜好性の良い食事は犬や猫が喜んで食べるため、結果的にフード中の栄養素がきちんと摂取されます。
どんなにフード中の栄養素が優れていても、ワンちゃんが口の中に入れ、飲み込んでくれなければ意味がありません。

ペットフードの「嗜好性」は、ワンちゃんが必要な栄養素を摂取するためにも、ペットフードが持つべき重要な要素といえます。
様々な工夫や調整をしてフードの嗜好性を良くすることはとても大切なことなのです。

 

なお本稿は以下を参照して執筆しています。

動物の味覚受容体 | 日本ペット栄養学会(PDF)
犬と猫の嗜好性 嗜好性に影響を与える要素と嗜好性を上げるためのヒント | 日本ペット栄養学会(PDF)
・岩崎利郎、辻本元監修(2014)『小動物の臨床栄養学 第5版』マーク・モーリス研究所日本連絡事務所出版, pp.196-201

 

 

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