ドッグフードの保証分析値はそのまま読んでも意味がない?

ドッグフードのラベルに表示されている「保証分析値」。

フード選びにこだわっている飼い主さんの中には、保証分析値まで目を通す方もいるかもしれません。
しかし、多くの飼い主さんはフードを選ぶ際にどう役立てればいいのかわからないかと思います。

それもそのはずで、実は保証分析値はそのまま読んでもあまり役に立たないのです。

今回は、

  • 保証分析値とはそもそも何なのか?
  • なぜそのまま読んでも意味がないのか?
  • どう役立てればいいのか?

ということを解説します。

保証分析値とは

保証分析値

ペットフードのラベルには「保証分析値」として、タンパク質・脂質・繊維・灰分・水分の5項目が表示されています。

保証分析値の表示は、飼い主がドッグフードを選ぶ際の基準として役立つよう「ペットフード公正競争規約」によって定められています。
ペットフード公正取引協議会・製造について

また、タンパク質と脂質は、健康の維持のために一定量が必要なため、「○%以上」と最低値が、繊維と灰分、水分は、過剰に含まれていると栄養効率が悪くなったり健康に悪影響が出たりするので、「○%以下」と最大値が記載されています。

各基準値に関しては、アメリカのAAFCOという団体が公表している栄養基準を日本では採用しています。
詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

AAFCO

ペットフードの栄養基準を定める団体「AAFCO」とは

2019年9月16日

 

人の食べ物と表示が違うのはなぜ?

人間は自分で栄養バランスを整えるための食事を選ぶことができます。
そのため、食事に含まれている栄養成分の標準的数値が確認できるよう「1袋中たんぱく質15g,脂質8g…」のような表示がされています。

一方、ペットは飼い主から与えられた食事のみで栄養を摂取しなければなりません。
そのため、ペットに必要な栄養成分が含まれていることを保証する意味で「粗たんぱく質20%以上、粗脂肪8%以上、粗繊維3%以下、粗灰分7%以下、水分10%以下」のような表示がされているのです。

 

「粗」の意味

人の食べ物でもペットフードでもたんぱく質や脂肪等の分析方法はほぼ同じです。
しかし、食品の栄養成分の表示には「粗」がなく、ペットフードには「粗」という言葉がついています。

この「粗」という言葉は、おおまかな数値を表したものではなく、栄養成分の表示についての分析上の精度を示したものです。

水分以外の4成分は純粋なたんぱく質・脂肪・繊維・灰分を測定しているのではなく、同時に他の成分も測定してしています。

たとえば、タンパク質の分析ではアミノ酸やアミン類、脂肪の分析では脂肪に溶解しているビタミン、繊維では酸やアルカリに溶けないケラチンなどです。
それらを「粗」という言葉で表現しています。

英語では「Crude」(天然のまま)という言葉で示されていて、次のような表示がされています。

Guaranteed Analysis
Crude Protein(min) 30.0%
Crude Fat(min) 16.0%
Crude Fiber(max) 4.0%
Moisture(max) 10.0%
Ash(max) 7.0%

 

保証分析値はそのまま読んでも意味がない?

実は、ドッグフードの保証分析値はそのまま読んでもあまり意味がありません。

なぜなら、保証分析値を読んでも、次のことができないからです。

  • ドッグフードの栄養バランスを比較する
  • タンパク質の品質と消化性を判断する

 

ドッグフードの栄養バランスを比較する

保証分析値は、ドッグフードに含まれる栄養成分の割合がそのままの状態(水分を含んだ状態)で表されています。
そのため、ドッグフードの形状(ドライ・セミモイスト・ウェット)によって数値が大きく変わってしまうのです。

数値が異なると、ドッグフードの栄養バランスを正確に比較することができません。
どういうことか具体的な例でご説明します。

今回はドライA・ウェット(缶詰)Bのタンパク質と脂質を比較することにします。
それぞれの保証分析値は次の通りです。

ドライA 缶詰B
タンパク質 26% 13%
脂質 16% 5%
水分 9% 78%

保証分析値を比べてみると、成分の割合が全く違いますよね?
このままでは、タンパク質はドライAの方が多いのだと勘違いしかねません。

そこで分析値を正しく比較をするために必要なのが水分含有量を無視した「乾物量分析」という方法です。
英語では「Dry matter basis(DM)」と呼ばれています。

両方のドッグフードからすべての水を除去し、乾物量分析値に変換した値が次の表です。

ドライA 缶詰B
タンパク質 29% 59%
脂質 18% 23%
水分 0% 0%

缶詰Bには、ドライAよりもはるかに多くのタンパク質が含まれていることがわかりました。

「乾物量分析」の方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

乾燥食品

乾物量分析 – ドッグフードの栄養バランスを正しく比較する方法

2019年9月24日

 

タンパク質の品質と消化性を判断する

ドッグフードを買うときに、ラベルに記載されているタンパク質の割合をただ信用することはおすすめしません。
どういうことか具体的な例でご説明します。

仮に今、古い革靴を2足、使用済みのモーター油、そしておがくずを1杯持っているとします。
次に、それらをすべて粉砕し、一緒に混ぜます。

その調合物を分析のために食品試験室に送ります。すると、

  • タンパク質: 32%
  • 脂肪: 18%
  • 繊維: 3%

という結果が得られるのです。

実はこのデータだけを見ると、質の高いドッグフードと同じくらい良い栄養バランスになっています。
革はタンパク質を、モーター油は脂肪を供給します。
そして、おがくずが繊維を供給しています。

しかし、本当にこの調合物をワンちゃんに与えたいと思いますか?

「保証分析値」は成分がどれくらい含まれているかという目安にはなりますが、原材料の品質まではわかりません。
ドッグフードの製造会社は「数字」ができるだけ良く見えるよう、レシピを巧みに操作して数字を微調整できるのです。

そのため、タンパク質の品質と消化性を判断するには保証分析値ではなく、「原材料名」を確認する必要があります。
そして、原材料名の最初の方に書かれている主要原料に動物性タンパク質が具体的な品目で多く表示されていることが大切です。

理由を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

肉を食べる狼

ドッグフードに含まれるタンパク質は動物性と植物性どっちが良い?

2019年9月29日

 

 

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