ペットの健康は毎日の食事から。
そう考えて、愛犬に与える食べ物にこだわりたい飼い主さんは多いのではないでしょうか?
犬は人と違い、自らの意思で健康を管理することができません。基本的には飼い主さんが与えた食べ物をずっと食べ続けることになると思います。
だからこそ、愛犬の健康を守るために与える食事には気をつけたいものです。
しかし、店頭やネット上には星の数だけドッグフードがあるため、どういう基準で選べばいいか迷ってしまう飼い主さんも多いと思います。
そこで今回は、安全なドッグフードの正しい選び方についてご紹介します。
初めてドッグフードを選ぶ方向け
ドッグフードを選ぶ際に、最低限おさえておきたいポイントが3つあります。
- フードの種類を選ぶ
- フードの形状(与え方)を選ぶ
- 愛犬のライフステージにあったフードを選ぶ
① フードの種類を選ぶ

主食としてドッグフードを選ぶ際は、「総合栄養食」の表示があるフードを選びましょう。
ドッグフードは目的別に、以下の4つに分類されます。
総合栄養食
毎日の主食として与えることを目的にしたフードです。犬の成長段階ごとに栄養の基準が設けられており、このフードと水だけで健康を維持できる栄養バランスが考えられています。
日本の栄養基準は、アメリカのAAFCO(アフコ)の指針をペットフード公正取引協議会の規約に反映し、準用しています。
間食
ペットとのコミュニケーションをとるための手段やご褒美として与えるおやつやスナックです。
栄養基準がないため、ペットがほしがるままに与えていると栄養が偏ったり、カロリー過多になったりするので注意しましょう。
療法食
特定の疾病や健康状態にある犬のために獣医療において獣医師の指導の下に食事管理をするときに与えるフードです。
ただし、法令上一般のドッグフードと同様に区分されるため、獣医師からの処方箋がなくても飼い主さん自らの判断で購入できてしまいます。
療法食を買おうと考えている飼い主さんは、必ず動物病院で診断を受けてから獣医師の選んだフードを与えるようにしてください。
その他
特定の栄養素やエネルギーの補給などの目的で与えるフードです。
「一般食(おかずタイプ)」「栄養補完食」「カロリー補完食」「副食」「サプリメント」などがあります。
② フードの形状を選ぶ

ドッグフードの区分は次の3つに分けることができます。
ペットにどのようなタイプのフードを与えるのか選びましょう。
ドライタイプ
水分含有量が10%程度、あるいはそれ以下のドッグフードです。
重さ当たりの栄養価が高く、コストパフォーマンスがいいため最も普及しています。
カリカリとした食感が特徴的で保存性にも優れています。
食器にフードを盛り付けた後、常に食べられるようにしておく「自由給与」も可能です。
セミモイストタイプ
水分含有量が25~35%程度のドッグフードです。
やわらかな食感で、ドライフードが食べにくい犬でも食べられるよう作られています。
しっとりさを保つための湿潤調整剤、腐敗防止のために酸化防止剤などの添加物が使用されていますが、開封後はできるだけ早く消費するようにしましょう。
ウェット(缶詰)タイプ
水分含有量が75%程度のドッグフードです。
やわらかくて食べやすいため多くの犬が好んで食べるタイプです。栄養素と一緒に水分も摂取できるのが特徴的です。開封前であれば長期保存ができます。
③ ライフステージ別にドッグフードを選ぶ

犬の成長段階によって、必要な栄養量が異なります。
商品のパッケージを確認して愛犬のライフステージにあったフードを選ぶようにしましょう。
授乳期
誕生~30日ぐらいを指します。
通常この時期は母乳で成長します。
母乳が飲めない場合は犬専用のミルクを与えてください。

離乳期
生後20~60日ぐらいを指します。
離乳期用または成長期用(子犬用)のフードをやわらかくして少しずつ与えましょう。
成長期
成長期は犬のサイズによって次のように期間が分かれます。
- 小型犬:生後50日〜10ヶ月程度
- 中型犬:生後50日〜1年
- 大型犬:生後50日〜1年半
- 超大型犬:生後50日〜2年
成長期は成犬期の体をつくり上げる大切な時期です。
そのためより多くのタンパク質やビタミン、ミネラルを必要とします。
市販製品では、成長期用(または子犬用)と書かれたフードがあります。
生後5ヶ月くらいまでの犬はレセプターという体の機能が発達していないため、カルシウムを必要以上に吸収してしまします。成長期の大型犬・超大型犬(ラブラドールやゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなど)は骨の成長スピードが早く、カルシウムの多い食事を与えると関節や骨の病気になるリスクが高くなります。そのためタンパク質とカルシウムの比率が最適化された大型犬用かつ成長期用(子犬用)のドッグフードを与えるようにしてください。
成犬期
成長期を終えてから7年間(大型犬では5年)程度を指します。
市販製品では、成犬用と書かれたフードがあります。
中高齢期
約8~10歳(大型犬は6~7歳)以降の時期を指します。
成犬期に比べて運動量や代謝能力の低下で消費エネルギーが減り、食欲も低下することがあります。
健康のために高齢期用(またはシニア犬用)のフードを与えるのが好ましいとされています。
フード選びにこだわりたい方向け
フード選びにこだわりたい飼い主さんは先ほどの3つに加えて、見るべきポイントが2つあります。
- 国産 or 外国産を選ぶ
- 「原材料名」を確認する
④ 国産 or 外国産を選ぶ

フード選びで大切な判断基準の一つが、日本または海外でペットフードがどのように規制されているのか、についてです。
人間の食べ物の場合、国産の方が高価で品質の高いイメージがありますよね。
しかし、ペットフードに関しては必ずしもそうとは言えません。
日本のペットフード規制
日本では2009年にペットフード安全法(愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律)がつくられ、農林水産省と環境省が共同でペットフードを規制・管理しています。
また、事業者によって構成されているペットフード公正取引協議会という団体がペットフードの表示などに関して独自に規制を設けています。
しかし、日本のペットフード規制には知っておくべき心配な点があります。
それは、ペットフードを法的に「食品」として認めていないことです。
ペットフード公正取引協議会の公式HPには、次のように書かれています。
ペットフードは、食品ではありませんので、食品関連の法令(食品衛生法、JAS法、健康増進法等)による規制は受けません。
食品扱いしていないのは、市販のペットフードが食品売り場ではなく、雑貨コーナーにあることからわかりますね。
また、食品関連の法令を受けないのは、日本で有機JASマークのつくオーガニックドッグフードを見かけないことからわかります。
海外のペットフード規制
ペット先進国と言われているアメリカやEU加盟国(イギリス・ドイツ・フランス・オランダなど)では、ペットフードを人間の食べ物と同等に厳しく規制しています。
たとえばアメリカでは、FDA(食品医薬品局)、USDA(農務省)などの連邦政府機関と各州政府が協力してペットフードを規制し、AAFCO(アフコ)という団体が、ペットフードの栄養基準をつくり公表しています。
また、ヨーロッパ(EU加盟国)ではEUが定める数百もの法律によってペットフードを厳しく規制しています。
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
このように、日本ではペットフード安全法ができたものの、安全基準のチェックや高さはアメリカやヨーロッパ(EU加盟国)の方が厳しいのが現状です。
しかし、人間の食べ物もそうですが、いかに国が規制していても事故を100%防げる保証はありません。
飼い主さん自らが国によってどのような規制がされているのか事実を知った上で、納得のいくドッグフード選びができれば嬉しく思います。
⑤ 「原材料名」を確認する

ペットフード安全法によって、ドッグフードのパッケージやラベルには「原材料名」の表示が義務付けられています。
ここではフード選びの際に、原材料名の何に注目すればいいのご説明します。
主要原料
主要原料とは「原材料名の最初の方に書かれている原料」のことです。
原料は原則、使用量が多い順番に記載するルールになっています。
そして、主要原料に動物性タンパク質が具体的な品目で多く表示されていることが大切です。
なぜ動物性タンパク質の割合が多くあるべきなのか詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、具体的な品目(鶏肉、牛肉、サーモンなど)によって成分が分割表示されていれば、動物性タンパク質の割合(肉の含有量)を推定しやすくなります。
添加物
次に原材料名の最後の方に書かれている添加物についても目を通しておきましょう。
注目したいのは、ペットフード安全法によって使用制限のある添加物と着色料です。
使用制限のある添加物は次の4つになります。
添加物名 | 上限値(μg/g) |
エトキシキン・BHA・BHT | 150(合計量) 犬用は、エトキシキン75μg/g以下 |
亜硝酸ナトリウム | 100 |
これらの添加物は科学的知見をもとにペットに害がないと判断された上限値が設定されています。
しかし、少しでも愛犬に摂取させたくないという飼い主さんもいるかと思います。
そういった場合は、できるだけ使用制限のある添加物が含まれていないドッグフードを選ぶと良いでしょう。
また、着色料に関しては、完全に人間の都合で添加されています。
犬は人間と比べて色を識別する細胞が少ないため、色覚が発達しておらず、色はわからないと考えられています。
着色料の中には発がん性のあるものもあるため、できるだけ着色料が含まれていないフードを選ぶのが良いです。
添加物についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
あなたが知っている情報をぜひ教えてください!